イタリア、とりわけヴェネツィア(Italia, soprattutto Venezia)

ヴェネツィア偏愛、時には脱線。

ヴェネツィアの運河: マリーン運河(Rio Marin)

E.&W.エレオドーリ著『大運河』(1993)がマリーン運河について次のような事を書いています。
ニーグラ館[中央がマリーン運河の入口] 「この運河は11世紀に掘削され、マリーン・ダンドロの名から命名された。この運河に重要な館が姿を見せるのだが、その中には、あの豪壮なグラデニーゴ館があるが、仮令他に沢山館を保持していても、大運河沿いにはこの一家は持てなかったのである。しかしヴェネツィアでの生活や運命の中で、かれらの重要さは大きかったので、周知されないということはあり得なかった。
グラデニーゴ館 ソランツォ館[マリーン運河に建つ瀟洒なグラデニーゴ館と右、ソランツォ館] ヴェネツィア成立に立ち会った十二使徒を名乗る、12の家系の一つで、今日でも繁栄している一族である。グラデニーゴの名前は、ヴェネツィアの何世紀にも渡る事件と絡み合った金糸のようなものである。

裕福で、素晴らしい一家は共和国に3人の総督、無数の有能な人材を輩出した。多くの人は外交官として秀逸であり、バルトロメーオの場合、難しいスペイン宮廷に3年間大使を勤め、彼は娘がスペイン王に洗礼を受けたということがあった。

セレニッスィマは貴族に全てを期待し、要求した。というのは、使用人を雇うにも事欠くほど不十分で、些細な謝礼金を彼らに出したが、その代表者達は個人的、貴族としての威信を維持するために、家族から富を吸い上げながら、その状態を保った

こうしてスペインから帰還時、先祖伝来の館に入館する時、若いバルトロメーオはアトリウムで彼を待つ父の前に跪いた。彼は自分の地位を維持する必要経費のための三千ドゥカートの負債を負わねばならなかったことを父に詫びたのだった。父は彼を抱き締め、何も言わず、それを支払った。

しかしこの家系で最も著名な名前は勿論、同時代人がそう呼ぶように、ピエラッツォ(Pierazzo――Pietroの愛称)の名前である。1289年総督ダンドロが亡くなった時、人々は古い貴族の家系のヤーコポ・ティエーポロを選んだ。しかし彼はそれを断った。

満場一致制を打ち砕くことになる機会を捉え、"新しい"家系はピエートロ・グラデニーゴ(1289~1311) を選出することに成功した。彼は"古い"家計に属していたにも拘らず、彼ら党派のメンバーだった。

ピエラッツォは弱冠38歳の時(50歳の時、毒殺されたらしい)、精力的で公平無私、有能な政治家となった。1297年には一般人民の決定は全て廃止する大評議会のあの有名なセッラータを完成させた。父方の子孫が元老院に所属するのだということを認めるために、貴族にのみ権力の行使を許したのである。

この事は、"古い"家系の大部分に打撃を与えた。即ち商業にのみ携わって、政治には関わっていなかった人々が、1310年のバイアモンテ・ティエーポロの謀反に加担することになった。

イギリスの歴史家ヒュー・ホナーがセッラータについて書いていることについて、ここで伝えるのは興味深いことである。
《……民主制から寡頭制へのこの変革は……"自由"の長女に対する一つの祝福であるように感じさせる。14~15世紀に大いなる拡張を可能にした13世紀の増大する繁栄がその結果であった。政治の世界から扇動的政治家を排除し、こうした僭主の異母兄弟から国家を守った。

沢山の人の手が政治に携わるようにし、その商業的繁栄とお互いの嫉妬が、優位に立ったり、権力の最高位を獲得することから、各一家を牽制し守った。こうして大評議会が作り上げたシステムは効果的に機能し、500年間も変化もなしに生き延びたのである。》」

[セッラータ(serrata)については、2012.01.14日のベンボ館をご参照下さい。]
  1. 2017/08/31(木) 00:04:41|
  2. ヴェネツィアの運河
  3. | コメント:0

カウンタ

カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

プロフィール

ペッシェクルード(Pescecrudo)

Author:ペッシェクルード(Pescecrudo)
初めてイタリアに行ったのは1994年、ヴェネツィアには即一目ぼれ。その結果、伊語会話勉強のためにヴェネツィアの語学学校に数年間の間、何ヶ月にも渡り通いました。
その後勝手を知ったヴェネツィアを先ず訪れて、イタリア各地にも足を伸ばしています。
東京に住んでいるので、憧れのヴェネツィアについて何かしら触れているとヴェネツィア気分で楽しいのです。

*図版・写真はクリックすると拡大されます。

最近の記事+コメント

カテゴリー

ブログ内検索

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

このブログをリンクに追加する

過去ログ

フリーエリア