イタリア、とりわけヴェネツィア(Italia, soprattutto Venezia)

ヴェネツィア偏愛、時には脱線。

文学に表れたヴェネツィア――カルロ・ゴルドーニ(2)

ヴェネツィアのレストランで偶々席が隣り合ったことで簡単な会話を始め、フィレンツェに来ることがあったら電話しなさい、と電話番号を頂き、結局言葉に甘えてそのアルフォンソご夫妻のお宅に伺った時、昼食の席でその時頭にあった日本公演のフェッルッチョ・ソレーリの演技に感動したことを話しました。

アルフォンソさんはフェッルッチョと同じ町内に生まれたと言われ、彼がその町内のバールでコーヒーを飲んでいる時に同席したことが何度もあると、彼と同町内出身であることは誇らしい、という口調で彼の事を何か話してくれました。ますますコンメーディア・デッラルテにのめり込んでいく要因でした。

初めてヴェネツィアに赴いた時、先ず訪れたい場所がありました。マルコ・ポーロの家、カ・レッツォーニコ(18世紀美術館)とスタンパーリア美術館、そしてカルロ・ゴルドーニの生家(演劇博物館)でした。色々道を尋ねながらどうにか辿り着くことが出来ました。工事中で足場等が組んでありましたが、2階の玄関を開けて、入場は出来ないかと尋ねると意外にもOKの返事でした。

現在ではあの当時とすっかり博物館の様相が変わってしまいましたが、昨年訪れた時もゴルドーニの芝居のDVDを見せて頂き、奇妙に興奮していました。しかし売店で買ったゴルドーニの演劇のDVDは未だにどうやっても開けません。

『ゴルドーニ劇場』(田之倉稔編訳、晶文社、一九八三年九月一五日)には『二人の主人を一度に持つと』と『ヴェネツィアのふたご』の訳があります。『二人の主人を一度に持つと』の原作の登場人物は次のようです。
『ゴルドーニ劇場』パンタローネ・デ・ビゾニョージ、クラリーチェ(パンタローネの娘)、イル・ドットーレ・ロンバルディ、シルヴィオ(ドットーレの息子)、ベアトリーチェ(男装のトリノ人、フェデリーゴ・ラスポーニ)、フロリンド・アレトゥージ(トリノ人、ベアトリーチェの恋人)、ブリゲッラ(旅館の主人)、ズメラルディーナ(クラリーチェの女中)、トゥルッファルディーノ(ベアトリーチェとフロリンドの召使い)、旅館のボーイ、パンタローネの召使い、ポーター2人、食事の時のボーイ数人が登場人物ですが、当然これにアルレッキーノが加わります。

アルレッキーノはベルガモのキャラクターですが、ストレーレルはピッコロ座の演出ではベルガモ弁ではなく、ヴェネツィア語を話すように変更したようです(テクストの変更はその他にもあるようです)。舞台は勿論ヴェネツィアです。

「第一幕
第一場 パンタローネ家の部屋。パンタローネ、ドットーレ、シルヴィオ、ブリゲッラ、ズメラルディーナ、パンタローネのもう一人の召使い

シルヴィオ  さあ、ぼくの右の手をお取り下さい。この手といっしょにぼくの心もさしあげます。(クラリーチェに右手をさしのべる)
パンタローネ  さあ、もう恥ずかしがらずに、お前も手を出しなさい。そうすりゃふたりは婚約したことになる。すぐその次は夫婦というわけさ。
クラリーチェ  はい。シルヴィオさん、どうぞわたしの手を。まちがいなくあなたの妻になることを誓います。
シルヴィオ  ぼくも誓います。君の夫になることを。(ふたりは手を合わせる)
ドットーレ  結構結構。やっとこぎつけた。もう後へ引き返すことはあるまい。
ズメラルディーナ  <ああ、うらやましい話! まったくあたしまで結婚したくなってしまうわ。>
パンタローネ  (ブリゲッラと自分の召使いに)君たちはこの二人の婚約成立の立会人ということにしてもらいたい、娘のクラリーチェとドットーレ・ロンヴァルディ氏のご令息シルヴィオ君のな。
ブリゲッラ  (パンタローネに)ええ、よござんすとも。そんな晴れがましいことをさせていただいて、むしろお礼がいいたいくらいです。
パンタローネ  そうだろう。わたしも君の結婚の立会人になった。だから君にも娘の結婚の立会人になってもらおうというわけだ。それに友人連中に声をかけたり、親戚を招んだりするのは嫌だったのでね。先生もまったくわたしと同じ性格でいらっしゃる。すべて大騒ぎせず、つつましくなさるのがお好きなんだ。内輪で会食をし、楽しむ。そうすれば誰からも迷惑をこうむることはない。(クラリーチェとシルヴィオに)どうだ、うまいやり方とは思わんかね、そこのおふたりも。
…… 」
  ――『ゴルドーニ劇場』(田之倉稔編訳、晶文社、一九八三年九月一五日発行)より  
  1. 2009/10/03(土) 00:01:28|
  2. ヴェネツィアの演劇
  3. | コメント:2
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コメント

こんにちは! オペラの中継録画はともかく、演劇というのがも一つ苦手感があるのですが(なぜなのか自分でも疑問です)、でもこうして読ませていただくと興味が沸きます。
TV画面でチラッと見たゴルドーニの芝居のシーンは、大変躍動的で面白そうでしたが、あのイタリア語について行けるペッシェクルードさんは凄いです!

今月の末に友人たちとヴェネツィアに何泊かする予定ですので、是非ゴルドーニの家を見て来たいと考えています。

東京を台風が通過し死者も出たと、今夜のニュースで伝えておりました。
被害を受けられておられませんように。
  1. 2009/10/08(木) 23:29:28 |
  2. URL |
  3. shinkai #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

ご心配をして頂き、恐縮です。確かにすごい風でした。
何事もなく、幸いでした。
ミラーノのピッコロ座のフェッルッチョ・ソレーリの時は、台詞が分からなくても
とても楽しいものでした。しかしゴルドーニの市民喜劇は科白が分からないと興味が
半減しますが、私は科白が分からなくても動きや声だけでも楽しめるタイプのようで
す。ジュデッカ島のユンガンス(Junghans)にあるパンタスキン座のコンメーディア・
デッラルテを見た時も、周りの土地の人々は大笑いしているのに、私はさっぱり! 
それでも楽しいと思ったことでした。
ゴルドーニの科白を聞き取れるようになりたいと思っていますが、既に遅しです。
  1. 2009/10/09(金) 06:57:17 |
  2. URL |
  3. ペッシェクルード #-
  4. [ 編集 ]

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ペッシェクルード(Pescecrudo)

Author:ペッシェクルード(Pescecrudo)
初めてイタリアに行ったのは1994年、ヴェネツィアには即一目ぼれ。その結果、伊語会話勉強のためにヴェネツィアの語学学校に数年間の間、何ヶ月にも渡り通いました。
その後勝手を知ったヴェネツィアを先ず訪れて、イタリア各地にも足を伸ばしています。
東京に住んでいるので、憧れのヴェネツィアについて何かしら触れているとヴェネツィア気分で楽しいのです。

*図版・写真はクリックすると拡大されます。

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