イタリア、とりわけヴェネツィア(Italia, soprattutto Venezia)

ヴェネツィア偏愛、時には脱線。

ヴェネツィア等の船・舟

2008年度用年中行事のパンフレットに、AVT(=Associazione Vela al Terzo)協会について書いています。
帆の色々[(4)の Vela al Terzo は、日本ではラテン帆と呼ばれているようです] 「2008年、ヴェネツィアの AVT 協会は創立以来満20年を迎える。2007年の素晴らしい写真展の際の《共和国大統領レガッタ》、マーリオ・マルツァーリに捧げた競技会時、サン・マルコ湾に100以上もの船が集まった大会の成功後、協会はその大会で生まれた方向性を確定的なものとし、ラテン帆の伝統についての書籍発刊でお祝いを締めくくった。

毎年協会は、帆や櫂のクラブと協力して十幾つかのレガッタを立ち上げてきた。ラグーナやアドリア海北部海岸沿い(ロマニョーラ[ボローニャ南部]海岸からイストラ半島まで)の帆走である。

AVT はラグーナ・ヴェーネタ(ヴェーネタ潟)やこの海の伝統についての知識を広め、とりわけこの環境とその特異性を守ることに意を注いでいる。

協会はラグーナの典型的な船が消滅しないようにと、何人かの心ある人達の肝煎りで1988年4月15日に創立され、その目的で毎年、心あるヴェネツィア人の老いにも若きにも、関心を呼び起こしており、280艘以上に帆船番号を贈呈している(既に10艘以上の船が受領している)。

その中には船橋のある batelo a pisso da pesca(伊語 battello a pizzo da pesca)、遊覧用の sanpierota(潟の漁船で、S.Piero(Pietro) in Volta ではこう呼ばれる)、topetta、sandolo、bragagna、mussetto そして bragozzo である。

協会はアルセナーレ湾の傍に場所を確保し、そこに航海用の基地を設置し、ドックを設けた。」

ヴェネツィア共和国は海運国でしたから、船に対する思いは強烈です。ヴェネツィア独特の船など色々あるようです。文献などで拾った船名を列挙してみます。船は二大別し、人用は gondola、荷物用は barchetta と呼ばれるそうです。 
ヴェネツィアの船の古いイマージュ昔の写真から[古いヴェネツィア絵ハガキより]  balotina(ヴェネツィア語)=レガッタ用の軽い舟で、4人で漕ぐ。  barca(伊語)=短艇。  barco(伊)=複数のマストを持つ帆船。  bastimento(伊)=貨物船。  batelo(ヴェ)=battello(伊)=広義で平底の船。荷物用。  battana(伊)=平底の小舟で、sandolo や peata がある。  bissona(ヴェ)=8本櫂の祭礼用大型ゴンドラ。  bragagna(ヴェ)=3本マストの船。  bragozzo(伊)=キオッジャの2本マストの平底漁船。bragosso とも。  brigantino(伊)=2本マストの帆船。  brulotto(伊)=16世紀の敵船焼き打ち船。  bucintoro(ヴェ)=総督が儀式などに使用した御座船。bucentoro、bucentario、bucentauro とも。  burchielo(ヴェ)=burchiello(伊)=ブレンタ川等で建築廃材などを牽引する手漕ぎの運搬船、渡し船。  burcio(ヴェ)=burchio(伊)=北イタリアの川・湖で櫂や帆で動く平底の運搬船、渡し船。
カナレット画『センサの日、サン・マルコ小広場に帰還したブチントーロ船』[センサの日、サン・マルコ小広場に帰還したブチントーロ(ブチェントーロ)船]  caicco(伊)=カイク型帆船。  canoa(伊)=カヌー。  canotto(伊)=ボート。  caorlina(ヴェ)=平底の小型舟で典型的な運搬船であるが、レガッタ等で使用。地名 Caorle に由来。  caracca(伊)=14~17世紀の武装帆船。  carabo(伊)=中世の帆掛け船。  caravella(伊)=15~17世紀、スペインやポルトガル人が用いた3本マストの快速帆船。  cargo(伊)=貨物船。  catamarano(伊)=双胴の帆船。カタマラン船。  chiatta(伊)=河川等で使う鉄製や木製の平底の運搬船。大運河の第4の橋、憲法橋の橋梁設置の時には資材運搬で活躍しました。大運河の幅いっぱいの大きさのためフォースカリ館前の屈曲部を曲がるのに大変な時間を要したのをアッカデーミア橋から眺めていました。  cocca(伊)=中世の3本マストの大型帆船。nave tonda とも。  cutter(伊)=カッター(1本マスト小型帆船)

disdotona(ヴェ)=ラグーナの櫂漕船の中では最長の全長24メートルで、18人で漕ぐ。 

feluca(フェラッカ)=2本マストの小型船。  fregata(伊)=1750~1850年頃の木造の海軍快速帆船。  fuoribordo(伊)=船外モーター取付船。  fusta(伊)=14~17世紀地中海の櫂と帆で進む海賊船で、ガレー船より小型。
le barche 1le barche 2  galia(ヴェ)=galea(伊)=ガレー船。中世から18世紀まで用いられた。帆と櫂で運行した商船、軍艦。  galiazza(ヴェ)=galeazza(伊)=大型ガレー船。  galeone(伊)=大型ガレー船。  galera(伊)=ガレー船。  goletta(伊)=スクーナー。  ganzaroli(ヴェ)=30櫂の船で、昔、石弓射手らをその訓練のためにリード島に運んだ。  gondola(ヴェ)=gonda とも。conca というラテン語が語源かもしれないという説がある。ヴェ語では母音に挟まれた《l》は無音になりがちでゴンドヤと聞こえたりする。  gondoleta(ヴェ)=小さなゴンドラ。  gondolin(ヴェ)[ゴンドリーン]=2本櫂の細身のレース用のゴンドラ。  gozzo(伊)=小型の帆掛け船。

imbarcazione(伊)=小舟、渡し船。  lancia(伊)=巡航船。  liburna(伊)=古代ローマの軍用快走帆漕船

margarota(ヴェ)=レガッタ用の6人漕ぎの軽い舟。  mascareta(ヴェ)=サンドロの繊細な軽い型で、女子のレガッタ用にも使用。舟長は漕ぎ手の人数により6~8メートル。  motobarca(伊)=モーターボート。  motocisterna(伊)=液体輸送発動機船。  motolancia(伊)=発動機艇。  motonave(伊)=トルチェッロ島などに行く2階建ての高速のモーター船。  motopeschereccio(伊)=トロール船。  motoscafo(伊)=ヴェネツィアを周回したり、ムラーノ島に行ったりする小型のヴァポレット。  motosilurante(伊)=哨戒艇。  motovedetta(伊)=小型哨戒艇。  motoveliero(伊)=機帆船。  motozattere(伊)=上陸用舟艇。  mugin(ヴェ)=?   mussetto(ヴェ)=? 

natante(伊)=船。  nave(伊)=船舶。  navicello(伊)=トスカーナ沿岸で用いられる2本マストの帆船 

panfilo(伊)=ヨット。  paranza(伊)=ラティンセール小型漁船。  peata/peatona(ヴェ)=重い商品等を運ぶのに容量の大きい丈夫な平底船。  peota(ヴェ)=屋根が付いて大変見栄えのする大型櫂漕船。  pescereccio(伊)=漁船。  puparin/pupparin(ヴェ)[プパリーン]=ゴンドラの形に従った非常にエレガントな舟。

sabionera(ヴェ)=船に安定を与え喫水を深くするためのバラストの砂を運ぶ舟。  saltafossi(ヴェ)=アックァ・アルタ時でも街中まで入れる、平底の小さな舟。  sandolo(伊)=1~4人漕ぎの底の平らな軽い小舟。sandalo とも。多目的だがヴェネツィアでは狩猟使用。  sandolino(伊)=1~2人用の平底の小舟。  sanpierota(ヴェ)=典型的な軽量の漁業用の平底船。ラテン帆あるいは櫂漕で運航。ペッレストリーナ近くの S.Piero in Volta での通称。  sciabecco(伊)=中世、地中海を航行した3本マストの小型帆船。  scialuppa(伊)=カッター、小舟。  s'ciopon(ヴェ)[スチョーポン]=サンドロの最小タイプの舟で、mascareta より軽く、100kgを越えない。元々狩猟用でラッパ銃から来た名前と思われる。カルパッチョの『潟での狩猟』で見られるという。  scoazzera(ヴェ)=堆肥を作って土地を肥沃にするために、集めたゴミ(家庭ゴミを含めて)をヴェネツィア以外の土地に持って行く船。

tartana(伊)=地中海の小型帆船。  topa(ヴェ)=topo に似た潟での家族の船遊び用に生まれた舟。ラテン帆を張った物は漁業に使用。  topo(ヴェ)=漁業用の船で、獲れた魚を運ぶための弓形の船。  topetta(ヴェ)=topo の小型船。  trabacolo(ヴェ)=trabaccolo(伊)=2本マストの漁船。  tragheto(ヴェ)=traghetto(伊)=ゴンドラに似た運河の渡し船。
topatopo[《Barche a Venezia》のサイトから借用] usciere(伊)=中世の荷物船で、特に馬等を運んだ。

vapoletto(伊)=水上バス。  vasselo(ヴェ)=vascello(伊)=3本マスト(trealberi)の戦闘用帆船。
船1船2船3[ヴェネツィアで活躍しているモーター船にはヴァポレット以外に、タクシー、救急艇、消防艇、清掃(ごみ)船、警察船、霊柩船、各種運搬船、各種モーターボート(漁業用、個人用等)、屎尿バキューム船など用途によって色々あります。

ヴェネツィアの屎尿は垂れ流しになっていると喋っている人がいましたが、私自身の体験は、とある通りで敷石をはぐり、通りの下に埋め込まれた大きな浄化槽にゴムのバキューム管を差し込んで溜まった屎尿を、バキューム船に吸い込ませて処理する清掃員の姿を見たことです。垂れ流しにしていたら、とても生活出来る臭いではない上に衛生上も最悪です。]
  1. 2011/02/26(土) 00:03:05|
  2. ヴェネツィアの船
  3. | コメント:2
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コメント

こんばんは! やぁ、これは有難うございます。 読んでいて知っている名も幾つか
ありますけど、殆ど知らず、これはコピーして資料にさせて頂きます!
9月のレガータ・ストーリカのご案内も勿論登場しますよね? では、その時の出場の
舟のグループもね。 楽しみにしております!

そうですよ、かっての昔はいざ知らず、今時汚水の垂れ流しなどとは!
多分台所の水などの流れるのもまだ少しあるのを、トイレの水と誤解したのでしょうね。
私も運河の泥のかき出し作業を何度か見ましたが、土地の地盤の点検も兼ねての事でしょう、
物凄い水圧をあてての作業で、この都を保つのが如何に大変かを思った事でした。
  1. 2011/02/28(月) 00:51:09 |
  2. URL |
  3. shinkai #-
  4. [ 編集 ]

shinkai さん、コメント有り難うございます。
rio の浚渫については、フェニーチェ劇場が焼失した数日後、運河のヘドロ浚いの
現場を見て興味を持ちました。昔から水の管理行政官は大変な力を与えられていた
ようですし、アルヴィーゼ・ゾルジの『ヴェネツィア歴史図鑑』(東洋書林刊)
には、『ヴェネツィアの職業』(1789刊)という本に運河の掃除人の図版と説明が
載っていると紹介・掲載しています。
翌年フェニーチェ劇場裏の運河の水を覗くと、大変澄んでいましたから、映画
『旅情』で運河にヘップバーンが落ちた時は、サン・バルナバ運河が浚渫されて
から間がなかったのではないかと思ったりしました。
  1. 2011/03/01(火) 13:31:33 |
  2. URL |
  3. pescecrudo #/plE8HKU
  4. [ 編集 ]

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ペッシェクルード(Pescecrudo)

Author:ペッシェクルード(Pescecrudo)
初めてイタリアに行ったのは1994年、ヴェネツィアには即一目ぼれ。その結果、伊語会話勉強のためにヴェネツィアの語学学校に数年間の間、何ヶ月にも渡り通いました。
その後勝手知ったヴェネツィアを先ずは訪れて、各地にも足を伸ばしています。
東京に住んでいるので、憧れのヴェネツィアについて何かしら触れているとヴェネツィア気分で楽しいのです。

*図版・写真はクリックすると拡大されます。

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