イタリア、とりわけヴェネツィア(Italia, soprattutto Venezia)

ヴェネツィア偏愛、時には脱線。

『世界遺産 ヴェネツィア展』――ヴィットーレ・カルパッチョ(3)

下はイタリアで購入したカルパッチョの画集。イタリアの美術評論家の解説の文章は、寓喩、諷喩、換喩、暗喩等と多く、文学者の書くものに比し、非常に難しいと感じました。
カルパッチョ作品集『カルパッチョ』(続き)「この絵が、バルコニーでの客待ちの2人の娼婦を描いたものであるという確信は、ちょっとやそっとで無くなるものではなく、この10年ほどの間、彼女達が貴婦人であると言われているにも拘わらず、新しい信者が生まれている。

詳細に見てみよう。『Dame(貴婦人達)』は多分、1800年代初頭『潟での狩猟』の場面を示す、上の部分が切り取られた。この断片は――1944年市場に登場し、現在カリフォルニア州ロサンジェルスのマリブにあるジョン・ポール・ゲティ美術館に収蔵されている――最近例外的にヴェネツィアのコッレール美術館に展示されたが、『Dame』に再び結び付けられた。

イヴェントというものは注意を促すものである。なぜならこの具体的な結び付け――グラッシ館で展示は続くのだが、この二つの切り離された断片は、ヴェネツィア・ルネサンス展として9月に展観される――で、チャンスが訪れたのである。これを最後に、唯一のオリジナルの板絵の正しい出自を確定する(多分箪笥の扉か窓の鎧戸だった)だけでなく、コッレールの絵の新しい、イコン的解釈の正当性を証明するものとなったからである。

その解釈は、あの時代アウグスト・ジェンティーリとフラーヴィア・ポリニャーノによって推敲され、まとめられたものであるが、その幸運な解釈が遊郭(遊女)に取って代わられるように運命付けられていた。

ソロモンの雅歌や生理学者[or自然科学者Fisiologo―大文字は何を意味する?]、詩人オヴィディウス、博物学者プリニウス、更には衣装の入念な調査に至るまでの、入り組んだ解釈が――3階の少女の場合は正に結婚に関わってくるが――事実その絵は、夫婦の貞節と呼ばれるシンボルとしての交響曲なのだと直感的に理解出来る。

ハンカチ、真珠の首飾り、上下2面の絵に分断された百合の花は、心底から純潔を呼び起こす。銀梅花(ぎんばいか)、オレンジ、雉鳩、鸚鵡、雌の孔雀は女性の忠節という特徴に一致する。
[mirto(伊)=myrte(仏)=myrtle(英)は南ヨーロッパ産の白い花で、銀梅花とかミルト/ミルテとか呼ばれ、ヨーロッパでは美神ウェヌスの神木とされ、愛の象徴として結婚式の花輪に用いられるそうです。]

更に警戒という要素(グレーハウンド犬)と仲間意識(2階の子猫)がある。だから貴婦人は全く娼婦ではあり得ず、ヴェネツィアの上流階級に属する慎ましやかな女性なのである。

類似点あるいはまた年齢の違いを見るに、多分母娘であり、どんな家系の出であるか分からないが、花瓶にプレーリ家という紋章がある(長い間、トレッラ家と言われてきたがそうではない)。しかしこの事は我々の助けには丸でならない。何故ならプレーリ家は、12世紀に既に消滅しているからである。

この女性達の考え深そうな、物思いにふけった態度について何が言えるか? 確かに《盛装した愚かな女》であろうが、誰かを心配そうに待つ、瞑想にふけった貴婦人でもある。更に背後にいる少年とは何者? 解答は多分『潟での狩猟』の切り取られた部分に隠されている。

《Dame》は不安そうな面持ちで男達を待っている。彼等はラグーナで弓矢を放って鳥を仕留めるのに忙しいのである。黒い鵜が、餌を取り戻すのに力を貸す。少年が、何かが逃げたと女達に告げに来た。

多分鍵となるメッセージは『潟での狩猟』に隠されている。カルパッチョはそこにトロンプ・ルイユの手法で、手文庫に収められた一束の手紙を描いた。しかし書かれたものは全て削り取られた。1906年まで、貴婦人達の足下に読める画家のサインがあったのだが。」
[trompe-l'oeil=遠近法を使い、精密な描写で実物そっくりに見せかけたもの。だまし絵のこと]
  ――1999年の夏の新聞記事、Marco Carminati 記者の記事から訳出。このグラッシ館での展示は、翌年1月まで延長されました。

[途中、大文字で始まる Fisiologo が何を意味するかが分かりません(誰か著名な自然科学者を指すのでしょう?)ので、その箇所の日本語の意味が取れません。誤訳と思いますので、飛ばして下さい。]
  1. 2011/09/08(木) 00:02:10|
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ペッシェクルード(Pescecrudo)

Author:ペッシェクルード(Pescecrudo)
初めてイタリアに行ったのは1994年、ヴェネツィアには即一目ぼれ。その結果、伊語会話勉強のためにヴェネツィアの語学学校に数年間の間、何ヶ月にも渡り通いました。
その後勝手を知ったヴェネツィアを先ず訪れて、イタリア各地にも足を伸ばしています。
東京に住んでいるので、憧れのヴェネツィアについて何かしら触れているとヴェネツィア気分で楽しいのです。

*図版・写真はクリックすると拡大されます。

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