イタリア、とりわけヴェネツィア(Italia, soprattutto Venezia)

ヴェネツィア偏愛、時には脱線。

《自由の木(L'Albero della Liberta`)》

先日2012.08.25日に触れました《自由の木》とはフランス革命後、革命派の人々が1790年パリに植えた樹木が始まりで、その後フランス、スイス、イタリアとその風潮が広がり、各地の町の中心広場に革命の象徴の木が植えられたそうです。

1792年フランス国民公会から《自由の木》の使用法と飾り付けについて通達が出され、樹木が棒に変更になり、革命のシンボルだった赤いフリジア帽と棒の上部にはためく旗は飾り化したものとなります。町の儀式や祝祭などの時、《自由の木》の回りで篝火を焚き、革命時流行ったカルマニョル革命歌を歌い、カルマニョル踊りを輪舞します。
ゲーテ『自由の木』ゲーテの『自由の木』。イタリア Wikipedia から借用。1793年ゲーテが水彩で描いた《自由の木》はマインツ共和国国境に立てられたものだそうです。

1797年ナポレオンに滅亡させられたヴェネツィア共和国のサン・マルコ広場で、《自由の木》の周りでマリーナ・クェリーニ・ベンゾーンが踊った踊りは、このカルマニョル踊りだったようです。また当時植樹された《自由の木》は革命騒ぎが沈静化したその後、大半が広場から引き抜かれてしまったそうですが、抜かれず現存する木も若干残っていると言われています。

ヴェネツィアに立てられた、このデモクラシーを象徴する《自由の木》について、Giuseppe Tassiniの『Curiosita` Veneziane(ヴェネツィア興味津々)』は次のような逸話を載せています。

「サン・マルコ広場についての挿話の中でも、1797年6月3日のいわゆる《自由の木》の建立の話は是非語りたいものである。その木の周りには芸術・科学といった色々のシンボルが取り巻いていたが、中でも《自由・平等》を象徴する2つの像が立てられていた。その像は僭主政を示すあらゆるものを焼き尽くすための松明を手にしていた。
ナポレオン像とサン・マルコ広場のその様子市当局は偉大なるフランス人とその軍隊と共に儀式に参列し、哀れな元総督ロドヴィーコ・マニーンから総督としての印、ケープ、コルノ帽等を取り上げに赴いた。そしてそれらは《自由の木》の下で、黄金文書(Libro d'oro)と共に焼かれた。そしてサン・マルコ寺院で総督代理の者によって厳かにテ・デウムが歌われた。

儀式を終えて歓喜の声と共に、人々を扇動するように自由行進が行われた。そして《木》の周りをカルマニョルを踊る人達の姿が見られた。その中にはアテネ風に開いたトゥニカを着た女達や僧侶が首も胸もはだけて踊っていた。中でも目立ったのは、美しい貴族夫人マリーナ・クェリーニ・ベンゾーンであった。」

また『ヴェネツィア史(Atlante storico della Serenissima)』(Giovanni Distefano著、Supernova、2010)の1797.06.04日の項には次のような事が書かれています。
『ヴェネツィア史 1600~1797』「1797年6月4日=《自由の木》がサン・マルコ広場に立てられた。考え方の遅れた人々をより切磋琢磨しようとの願いによるデモクラシー体制に対する大マニフェストである。事実、興味はあるが、賞賛に値するようなことは余りないといった人々の集まり・動きは多々あった。だから偏狭なヴェネツィア主義者であれ、ヴェーネト発展主義者であれ、この事を悲しんだ。良き市民とは静かに見守る人達であったが、声を潜めて呟いた、《4種の馬鹿者がいて、勝手に放言している。》」と。
  1. 2012/09/08(土) 07:28:34|
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ペッシェクルード(Pescecrudo)

Author:ペッシェクルード(Pescecrudo)
初めてイタリアに行ったのは1994年、ヴェネツィアには即一目ぼれ。その結果、伊語会話勉強のためにヴェネツィアの語学学校に数年間の間、何ヶ月にも渡り通いました。
その後勝手を知ったヴェネツィアを先ず訪れて、イタリア各地にも足を伸ばしています。
東京に住んでいるので、憧れのヴェネツィアについて何かしら触れているとヴェネツィア気分で楽しいのです。

*図版・写真はクリックすると拡大されます。

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