イタリア、とりわけヴェネツィア(Italia, soprattutto Venezia)

ヴェネツィア偏愛、時には脱線。

天正のローマ使節(3)[天正遣欧使節とも]

4使節達が6月29日に見た行列は、ヨーロッパでは非常によく知られたもので、その上その日に行われたものは近年見たことのなかったと言われるほどの、豪華に飾り立てられたものだったそうです。それがどんなものであったのか、アッカデーミア美術館にあるジェンティーレ・ベッリーニの『サン・マルコ広場の祝祭行列』(Processione in Piazza San Marco)を見て、その片鱗を窺ってみるしかなさそうです。
ジェンティーレ・ベッリーニ『サン・マルコ広場の祝祭行列』本来その行列は、聖マルコの祝日(6月25日)に挙行される習わしであったそうですが、使節の到来に合わせて、この日に延期されたということです。

その行列の参観に先立って、サン・マルコ寺院では大ミサがあり、そこで演奏されたのはサン・マルコ寺院の第1オルガン奏者で作曲家のアンドレーア・ガブリエーリが、使節歓迎用に作曲した『四つの合唱隊による16声のグローリア(Gloria a sedici parti, con quattro cori separati)』(1587年刊)という大曲だったそうです。

サン・マルコ寺院は、内部のギリシア十字の構造により合唱席を院内各所に配置出来ることから音楽のステレオ効果を生み出すという、当時盛んだった分割合唱唱法を生み出した寺院だったそうですから、彼らは院内に木霊するその諧調をどう受け止めたのでしょうか。

私自身、未だにこの曲のCDを未発見です。旧聞に属しますが、東京・東久留米の聖グレゴリオの家で彼らに因むコンサートの最後でこの曲が演奏されたという話を聞きました。

少し古い事典等ではガブリエーリの没年について、1586年の暮に作曲に全精力を注ぎ、力尽きたかのように亡くなったとしていますが、最近ヴェネツィア古文書館の調査で分かったのでしょう、1585年8月30日とする研究書(1988年刊)がミラーノで出版されたそうです。

現在でも使われている、いわゆるグレゴリオ暦の制定者である教皇グレゴリウス13世は彼らに会った直後1585年4月10日、ヴェネツィア総督ニコロ・ダ・ポンテは7月30日、アンドレーア・ガブリエーリは8月30日に亡くなっているのが、何故か不思議な感じです、天正の遣欧少年使節に会うことを心待ちしていたような。

サン・マルコ寺院(Basilica di San Marco)は、828年ルースティコ・ダ・トルチェッロとブオーノ・トリブーノ・ダ・マラモッコというヴェネツィア商人がアレクサンドリア(Alessandria)から密かに福音書記者聖マルコの遺骸を持ち帰ったことを受け、サン・マルコ寺院が建立されました(829年)。

976年焼失、978年再建されましたが、現在の姿は総督ドメーニコ・コンタリーニ(1043~70)時代の物だそうです。

聖マルコの遺体は、829年以来盗まれるのを恐れて度々隠し場所が変更されたのだそうですが、1094年以後隠し場所が不明となっていたところ、1811年5月7日祭壇の下に埋められていることが分かり、1094年に埋葬された遺体と同一であることが証明されたそうです。

この教会はサン・マルコ寺院の名称で呼ばれることが多いようですが、本来は総督の私設の教会として造立され、教皇庁配下の司教座のある大聖堂(duomo)は、東の果てのオリーヴォロ(Olivolo=オリーヴの樹が沢山あったのでこの名があるそうです)の島にあったサン・ピエートロ・ディ・カステッロ大聖堂でした。

ヴェネツィア共和国が1797年に滅亡し、ヴェネツィア総督が存在しなくなった後、1807年サン・マルコ寺院に司教座が移され、サン・マルコ大聖堂となりました。
  1. 2008/04/04(金) 22:51:33|
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ペッシェクルード(Pescecrudo)

Author:ペッシェクルード(Pescecrudo)
初めてイタリアに行ったのは1994年、ヴェネツィアには即一目ぼれ。その結果、伊語会話勉強のためにヴェネツィアの語学学校に数年間の間、何ヶ月にも渡り通いました。
その後勝手知ったヴェネツィアを先ずは訪れて、各地にも足を伸ばしています。
東京に住んでいるので、憧れのヴェネツィアについて何かしら触れているとヴェネツィア気分で楽しいのです。

*図版・写真はクリックすると拡大されます。

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