イタリア、とりわけヴェネツィア(Italia, soprattutto Venezia)

ヴェネツィア偏愛、時には脱線。

ヴェネツィアの建物: ジュスティニアーン=ロリーン館(P.Giustinian-Lolin)

大運河右岸ファリエール・カノッサ館の右隣はジュスティニアーン・ロリーン館です。R.Russo著『ヴェネツィアの館』(Arsenale Editrice、1998)は次のように紹介しています。
ファリエール・カノッサ館とジュスティニアーン・ロリーン館「1623年ジョヴァンニ・ロリーンがこの大運河沿いの建物を孫のジョヴァンニ・ジュスティニアーンに遺した時は建物は改築中だった。1300年代の古い建物から当世風への模様替えは、まだ若いバルダッサッレ・ロンゲーナに任され、彼はその意に沿ってファサードを再デザインした。

共和国滅亡時、建物はフランチェスコ・アッリェッティの所有するところとなり、稀覯本の収集家であったこの著名な医師は1836年までここに居住した。

その後この住まいは、バレリーナのマリーア・タッリォーニの所有へと移った。続いてブルボン家のマリーア・カロリーナの娘で、カルロ3世ブルボンの妻であった、パルマ公夫人マリーア・ルイーザの手に渡った。ルイーザはジュスティニアーン・ロリーン館で年に数ヶ月過ごし、Wartegg(スイス)の居宅と交互に住んだ。1864年大運河に面した部屋で亡くなる。

息子のバルディ伯エンリーコは館を銀行家のウーゴ・レーヴィに売却し、ヴェンドラミーン・カレルジ館に引っ越した。楽譜等の収集家で大音楽通のウーゴ・レーヴィは妻オルガ共々芸術文化に意を注ぎ、館購入時、ヴェネツィアで最も著名な音楽サロンを開いた。コンサートがあった後、大演奏家達がレーヴィ家に招かれ、招待客の前で独奏家の即興演奏が披露されることがよくあった。

《我が息子ウーゴ(Ugo mio fio)》という愛称で知られたそのあだ名は、父親が目論んだものであった。父と息子はブルジョア階級の集会所になっていた商売用の事務所があるサン・マルコ広場から、あるいはまたカッフェ・フロリアーンから一緒に帰宅することがあった。その時上着の一方のポケットは空っぽで、もう一方のポケットはインゲン豆で一杯だった。

2人の内のどちらかが誰か知人に出会うとその度に、インゲン豆を一方のポケットから反対のポケットに1粒移動させた。サント・ステーファノ広場の《ゴーボ・バール》に着いた時、インゲン豆の数を勘定してみた。人に会って、インゲン豆を移動させるということがなければ、アペリティフ一杯をその人に振る舞うということもない。

オルガ・レーヴィはトリエステ生まれで、エレガントな美人、その上非常に洗練されたと評判だった。詩人のガブリエーレ・ダンヌンツィオが彼女にご執心だったと言われている。彼女と知り合った夜、既にしてセレナータを彼女に捧ぐべく、楽師や歌手をゴンドラに配置して彼女の窓辺に居たという。

ダンヌンツィオはレーヴィ家サロンに入り浸りとなり、ウーゴに音楽を聞かせてくれるよう、またピアノを弾いてくれるよう願った。オルガに心酔するダンヌンツィオは直ぐに彼女に色々の愛称を呈した。中でも彼のお気に入りは、《ヴェントゥリーナ》で、鋼玉のように眼の色が変幻自在なのである。

しかしオルガは、友人として家族としての温かさを持って彼と付き合った。この友情は沢山の書簡で証明される。

今日、館はウーゴ・オルガ・レーヴィ財団が入っている。それは音楽研究センターであり、ウーゴの残した豊富な音楽図書館として機能している。」
 ――R.Russo『ヴェネツィアの館』(Arsenale Editrice、1998)より
  1. 2013/07/06(土) 00:05:09|
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ペッシェクルード(Pescecrudo)

Author:ペッシェクルード(Pescecrudo)
初めてイタリアに行ったのは十数年前。ヴェネツィアには即一目ぼれ。
その結果、伊語勉強のためにヴェネツィアの語学学校に何年間か数ヶ月通いました。
その後もヴェネツィアを訪れるたび、イタリア各地にも足を伸ばしています。
東京に住んでいるので、憧れのヴェネツィアについて何かしら書くのが楽しいのです。

*図版はクリックすると拡大されます。

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