イタリア、とりわけヴェネツィア(Italia, soprattutto Venezia)

ヴェネツィア偏愛、時には脱線。

ヴェネツィア映画

《ヴェネツィア》という項目をイタリアの百科事典で引くと長大な項目が登場しますが、その項目の直前に《Venexiana―ヴェネツィア女》という小項目がありました。訳してみます。

「1500年代に書かれた、作者不詳の喜劇で大部分がヴェネツィア語で書かれ、全イタリア劇作品の中でも最も著名なものの一つである。1928年エミーリオ・ロヴァリーニによって発見され、彼は作品の成立年代を16世紀初頭と決定した(近年G. パドアーンがアレティーノのための作家・詩人の集まりで復活上演した)。この喜劇は現実に起きた事から書かれたものであるとし、著者はもしかしてロレンツォ・ヴェニエールかも知れないという仮説を提出した。(この喜劇の中に窺える政治的・宗教的大胆さのために、また序文の中のアイデアと、高名な医師、詩人としての詩学的発想との中で書かれたと認めうることから、ロヴァリーニは作者としてジローラモ・フラカストーロ[1476/78ヴェローナ~1553ヴェローナ北Incaffi、科学者]の可能性を示唆している)」。

この劇作品は、現在では1536年頃[『ヴェネツィア史』(クリスチャン・ベック著、仙北谷芽戸訳、白水社クセジュ文庫、2000年3月30日)による]書かれたのではないかと言われ、マーウロ・ボロニーニ監督が映画化しています。

この監督の、クラウディア・カルディナーレとマルチェッロ・マストロイアンニで撮った映画『汚れなき抱擁』(原作のヴィタリアーノ・ブランカーティの『美男アントニオ』は随分昔に日本語訳が出ました)を見たことがありますし、また Metello という青年の物語『わが青春のフロレンス』については、フィレンツェのサンタ・クローチェ教会裏のトゥリーポリ通りを歩いている時、この映画の中に迷い込んだ眩暈のようなものを感じたことがありました。また『狂った夜』という映画を見たこともありました。
マウリツィオ・スカパッロマウリツィオ・スカパッロ 『ヴェネツィア女』この劇作品 Venexiana(Veniexiana)は書籍も Marsilio 書店から、伊語とヴェネツィア語が見開きで対照出来る形で発刊されています。映画のストーリーは、一人の外国人と2人のヴェネツィアの有閑マダム、アンジェラとヴァレーリア3人の恋愛遊戯(l'eterno triangolo?)ということから、かなりエロティックなものではあったのですが、ヴェネツィアの現風景が頻繁に現れるので、ヴェネツィア・街クイズの感がありました。現代演劇について講演されたマウリーツィオ・スカパッロ氏が手掛けられた、1965年の『ヴェネツィア女』がそれのようです。

映画では陣内秀信先生ご推奨の建物、ソランツォ・ヴァン・アクセル館が女主人公の居館として登場します。テースタ通り(Calle de la Testa)にアパートを借りたことがありますので、直ぐ近くの、サンティ・ジョヴァンニ・エ・パーオロ教会前のカヴァッロ橋(Ponte Cavallo)から物語が始まるこの映画は、ヴェネツィアーフィロ(veneziafilo―ヴェネツィアおたく)の人間には興味津々でした。
ヴァン・アクセル館[ソランツォ・ヴァン・アクセル館] 下女の走り回るサンタ・マリーア・デイ・ミラーコリ教会脇の金属の手すりのある通り(Cl.fianco la Chiesa)や女主人公の一人ヴァレーリアが恋人の待ち伏せをする、サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ教会前の特徴のある飾り門の間など、よく通った所でした。

以前に書きましたが、ストゥーア小広場でアパート生活をした経験があると、1500年代という中世ヴェネツィアの乳房橋近辺の雰囲気等を濃密に描いたと思われるこの映画は、ヴェネツィアを知る上で大変刺激になりました。

街中で演じる旅芸人達! 今のヴェネツィアを知り、かつてのヴェネツィアがこうであったと知る落差の摩訶不思議。そして当時とあまり変わっていないと言われる街を見るにつけ、日本とのあまりの懸隔に愕然とし、異様の感動を覚えます。

この映画はマーウロ・ボロニーニ監督『薔薇の貴婦人』という題で公開されました。
  1. 2008/07/20(日) 02:55:18|
  2. ヴェネツィアの街
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ペッシェクルード(Pescecrudo)

Author:ペッシェクルード(Pescecrudo)
初めてイタリアに行ったのは1994年、ヴェネツィアには即一目ぼれ。その結果、伊語会話勉強のためにヴェネツィアの語学学校に数年間の間、何ヶ月にも渡り通いました。
その後勝手を知ったヴェネツィアを先ず訪れて、イタリア各地にも足を伸ばしています。
東京に住んでいるので、憧れのヴェネツィアについて何かしら触れているとヴェネツィア気分で楽しいのです。

*図版・写真はクリックすると拡大されます。

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