イタリア、とりわけヴェネツィア(Italia, soprattutto Venezia)

ヴェネツィア偏愛、時には脱線。

コンメーディア・デッラルテ(3)

ヴェネツィアで、興味津々のコンメーディア・デッラルテの役柄を絵にした絵葉書を買い集めました。その中から幾つかのキャラクターの説明を列挙してみます。
中央の黒いマントがパンタローネパンタローネバランツォーネアルレッキーノ
パンタローネ(Pantalone―ヴェネツィア生れ)=口うるさいヴェネツィアの商人で、欲深の吝嗇家。ヴェネツィア弁での分別臭い言動が滑稽である上に、直ぐに老いらくの恋に走る。高鼻の仮面に真赤な上着とズボンをピッタリと身に着け、黒いたっぷりとした長マントを纏い、ピストレーゼという短刀を差す。

ドットール・バランツォーネ(Dottor Balanzone―ボローニャ生れ)=ボローニャ弁を話す。自分の知識に自惚れて鼻に掛けている。論理もない意見に可笑しなラテン語の引用を一杯に散りばめて、大学教授面でいかにも偉そうな身振りで語る。

アルレッキーノ(Arlecchino―ベルガモ生れ)=抜け目のない追従者の下僕役。主人の陰で策を巡らし、人をからかう機敏さがある。色々な色のツギハギだらけの衣装に、毛の生えた黒い仮面、兎の尻尾を付けた帽子にバタッキオという棒を手にする(他に愚鈍で野卑で馬鹿馬鹿しいタイプもある)。」
ブリゲッラメネギーノジャンドゥーイア
ブリゲッラ(Brighella―ベルガモ生れ)=目先の利く下僕役。詐欺師的な口達者で長広舌を振う。

メネギーノ(Meneghino―ミラーノ生れ)=ジャンドゥーイアとステンテレッロの3者は、その地に合わせて変えられる同じ役柄。気分、性格、長所・短所を取り込んで、かつては大成功を収めた役柄。

ジャンドゥーイア(Gianduia―トリーノ生れ)=特徴的性格はないが、ピエモンテ方言を使う役柄で演じられる。」
ステンテレッロメーオ・ペタッカ(Pataccaは誤植)プルチネッラ
ステンテレッロ(Stenterello―フィレンツェ生れ)=ハチャメチャな衣装で登場。機敏で辛辣な科白を吐く。

メーオ・ペタッカ(Meo Petacca―ローマ生れ)=プルチネッラのローマ版。その可笑しさは文章やシラブルのおかしな倒置や、当時の主たる言葉の繰り返しが引き起こす典型的な言葉遣いや身振りにある。

プルチネッラ(Pulcinella―ナーポリ生れ)=多分最古の仮面役で、悪巧みが激しいが、陽気そのもの。お人好しでぼやき屋。不躾ではあるが才気に富んだ科白を吐く。」
スカラムッチャタルターリャパンクラーツィオ
スカラムッチャ(Scaramuccia―ナーポリ生れ)=カピターノ・ファンファローニャやカピターノ・スパッコーニと同類。非の打ち所のない勇敢な遍歴の騎士と偽っている。その報いは、臆病と無教養というお里が直ぐに知れてしまう。

タルタッリャ(Tartaglia―ナーポリ生れ)=顔一面の眼鏡。どもるので更に見っともない。薬屋、公証人というまともな役柄は激しいからかいの対象である。

パンクラッツィオ(Pancrazio―プーリア生れ)=ナーポリ演劇では欠かせない存在。愚痴ばかりこぼす老人で、耄碌しているので残酷な悪戯の犠牲になり易い。」
ジャングルゴーロペッペ・ナッパ(Beppe は誤植)コラッリーナ
ジャングルゴーロ(Giangurgolo―カラーブリア生れ)=古い原型は相当変化し、ハッタリ屋で文無しの兵士役になった。自惚れが嵩じると危険な存在になるが、恋愛沙汰では常に敗北者。

ペッペ・ナッパ(Peppe Nappa―シチーリア生れ)=ぶらぶらだらけていても機敏である。怠惰で無気力なシーンで動き回ると、彼の評判のお人好しと大喰らいが原因で、災難が頻発する。

コラッリーナ(Corallina)=中世の終りと共に女達は、古代ローマのティトゥス・マッキウス・プラウトゥスの喜劇の先輩達のように、ポピュラーなキャラクターを身に帯びて舞台に戻ってきた。彼女は抜け目がなく、悪賢く、自らに絶対の自信を持つメイド役の象徴である。」
レーリオイザベッラコロンビーナ[上掲載の図版と本文3枚ずつはセットになっていますが、左最下段の図版は左からレーリオ、イザベッラ、コロンビーナです]
その他、役柄は枚挙に遑がないようです。例えば仮面を付けない男性の恋人役には、フォルトゥーニオ(Fortunio)、フルヴィオ(Fulvio)、レーリオ(Lelio)、オラーツィオ(Orazio)、オッターヴィオ(Ottavio)、女性恋人役では、フラミーニア(Flaminia)、イザベッラ(Isabella)、オリヴィエッタ(Olivietta)、スィルヴィア(Silvia)、召使役に、コロンビーナ(Colombina)、ズメラルディーナ(Smeraldina)、ヴィオレッタ(Violetta)等。

またザンニ(Zanni)というのは頭が鈍いか狡猾で、決まってどの場面にも馬鹿げた事を持ち込む滑稽役の下僕で、アルレッキーノやブリゲッラ以外にトゥルッファルディーノ(Truffaldino)、トゥリヴェッリーノ(Trivellino)、スカピーノ(Scapino)、ペドゥロリーノ(Pedrolino)、メッゼッティーノ(Mezzettino)、フリテッリーノ(Fritellino)、コヴィエッロ(Coviello)等限りがありません[『コメディア・デラルテ』(コンスタン・ミック著、梁木靖弘訳、未来社、1987年刊)という本には夥しい量の役柄が挙げてあります]。

[ヴェネツィア語では、Pantalone→Pantalon、Arlecchino→Arlechin、Truffaldino→Trufaldin、Stenterello→Stenterelo 等となります] 
  1. 2008/08/24(日) 00:30:24|
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ペッシェクルード(Pescecrudo)

Author:ペッシェクルード(Pescecrudo)
初めてイタリアに行ったのは1994年、ヴェネツィアには即一目ぼれ。その結果、伊語会話勉強のためにヴェネツィアの語学学校に数年間の間、何ヶ月にも渡り通いました。
その後勝手を知ったヴェネツィアを先ず訪れて、イタリア各地にも足を伸ばしています。
東京に住んでいるので、憧れのヴェネツィアについて何かしら触れているとヴェネツィア気分で楽しいのです。

*図版・写真はクリックすると拡大されます。

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