イタリア、とりわけヴェネツィア(Italia, soprattutto Venezia)

ヴェネツィア偏愛、時には脱線。

詩人、吉増剛造さん

その年、語学学校ヴェネツィア学院に通学していた時、私のクラスにはチリ、アゼルバイジャン、トルコ、モロッコ、スペイン、オランダ、ドイツ、日本の老若男女が学んでいました。国籍が種々だった故か、その日の授業は何の話からそうなったか記憶にありませんが、ニコ先生は自分の国の詩人の名前を挙げるように求めました。

私の隣に座っていたチリ出身のアナがネルーダと言ったのだけは記憶にあります(彼女はご亭主がマルゲーラで仕事、メーストレ奥のMiranoに住み、伊語習得。私と馬が合いました)。《Neruda》はチリ人なのだと初めて知りました。私は《Gozo Yoshimasu》と答え、伊語での彼の説明に苦慮しました。

何故この名前を発声したのでしょうか。詩人の名前は沢山あります。私の住む町内には、夭折した立原道造の弟さん夫妻がいて、後ろ姿など何度かお見掛けしており、彼の詩集も時たま覗いたりしていましたから、立原道造には愛着があったので、東大裏の《道造記念館》には2度は行っているのですが。
草書で書かれた、川私の好きな詩集『草書で書かれた、川 吉増剛造詩集』(思潮社、一九七七年七月一日)の中の一節に《「ゴーゾーさん」 不思議な声が木魂している》(『窓辺にて』より)とありますので、以後は「ゴーゾーさん」と書かせて頂きますが、多摩川、高麗川が歌われ、私の住む八王子、そこを貫流する浅川や、また福生が歌われます。
黄金詩編静かな場所『静かな場所』(書肆山田、一九八一年四月二五日)という紀行書に次のような一文が。
「現代アメリカの生活のなかの音をとらえようとするのだが、なかなかむつかしい。まず考えつくのは、これは日本でもそうだがクルマの走る音、そしてテレビ、ラジオの音だ。いつかめずらしい静寂のなかにいるなとおもったことがある。数年前に訪れた水の都ヴェニス。当りまえのことだが、水路が主な交通手段だから、クルマのはっとする音が聞こえない。そして、クルマがここには入ってこられないのだと考えると、不思議と落着きを覚える。……」

「ゴーゾーさん」は都内の阿佐ヶ谷で誕生され、以後、都下の基地の町〝福生″で成長されたそうです。私は八王子に住む前、福生の多摩川沿いの福生団地で生活しました。福生では、アメリカン・グッズの店から、「ゴーゾーさん」の実家前、多摩川岸へとよく歩き回りました。そうした風景が『草書で書かれた、川』を読む度に、眼前します。
マリリアのパフォーマンス盤上の海、詩の宇宙奥さんのマリリアさんと「ゴーゾーさん」トークによるコラボレーションによるパフォーマンス、またTVで見た、天才棋士羽生善治さんとの対談は録画して何回か見ました。そして羽生善治・吉増剛造対談集『盤上の海、詩の宇宙』(荒木経惟写真、河出書房新社、一九九七年八月二〇日)が出版されました。激しく刺激を頂きました。
剛造展パンフ表剛造展パン裏表声のま 図録[右、図録カバー] そんな訳で、『声ノマ 全身詩人、吉増剛造展』(2016.06.07~2016.08.07、東京国立近代美術館)を見にいって来ました。疾走してきた詩人の言葉は爆裂し、爆裂し、爆裂し、その飛散した片言、片言、片言を拾い集め、私なりの構築をしたいと思ったことでした。美術館売店に寄ると「ゴーゾーさん」のコーナーに詩集『怪物君』を始め、関連の書籍が爆発していました。その中の1冊『我が詩的自伝』(講談社現代新書、二〇一六年四月二〇日)は、「ゴーゾーさん」のユーモアに満ち溢れ、大変楽しい本でした(下、何方でも楽しめる新書版[カバー]です)。
オシリス、石の神我が詩的自伝gozoCine`を見ながら、「ゴーゾーさん」の詩の謡いによる《詩能》を思っていました。
  1. 2016/07/07(木) 00:15:29|
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ペッシェクルード(Pescecrudo)

Author:ペッシェクルード(Pescecrudo)
初めてイタリアに行ったのは1994年、ヴェネツィアには即一目ぼれ。その結果、伊語会話勉強のためにヴェネツィアの語学学校に数年間の間、何ヶ月にも渡り通いました。
その後勝手を知ったヴェネツィアを先ず訪れて、イタリア各地にも足を伸ばしています。
東京に住んでいるので、憧れのヴェネツィアについて何かしら触れているとヴェネツィア気分で楽しいのです。

*図版・写真はクリックすると拡大されます。

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