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イタリア、とりわけヴェネツィア(Italia, soprattutto Venezia)

ヴェネツィア偏愛、時には脱線。

ヴェネツィアの女性: ペギー・グッゲンハイム(2)

(続き)
「……タンクレーディ・パルメッジャーニ(画家としては簡単にタンクレーディと通称)は偉大な画家だった。19世紀芸術の革新的欲求にひどく敏感に反応し、心の情動、愛、苦しみにも深く突き動かされた。1964年ヴェネツィア・ビエンナーレに出品した。それはいくつかの成功の後に到達した目標地点だった。

そしてタンクレーディは、1964年9月27日、テーヴェレ川に身を投げた。彼はこの時期、ペギーと同棲していた。しかしその同じ時期、画家ローレンス・ヴェイルとの初婚で生まれた長女ペギーンも女流画家となり、ヴェネツィアに住んでいた。若い二人の間に恋愛関係があったと“言われている”(ペギーに関わる事で、何度“と言われている”と言われることか!)
ペギーン・ヴェイルヴァイル[左、ペギーの長女ペギーン・ヴェイル、サイトから借用。右、ペギーン・ヴェイル画『大運河で』]  多分これは多くの事、タンクレーディの自殺や3年後のペギーンの早過ぎた死、等を説明するやも知れぬ。彼女の死にも自殺という重しが大きく圧し掛かっているからである。《愛と死という血の繋がった兄弟は、運命的に未来を左右するだろう》とレオパルディは書いた。このケースの場合のように、時にそれは真実である。

しかしここではロマンティックな要素など何も見出すことが出来ないのである。勿論ペギー・グッゲンハイムの偉大さは“恋”の冒険の中にある訳ではない。そんな事、考えないで頂きたい! この世では、何よりも恐ろしいライバル達に出会うだろう。それは何も美術界だけではない。

しかし芸術的な素質については特別に注意して、常に愛人を選ぶという事を知る必要がある。本当のところ彼女の付き合う男達の大部分は、最初の夫ローレンス・ヴェイルから2番目の夫マックス・エルンスト(もう一人の自殺者であった)まで、概ね彼女の多くの愛人は芸術家であったが、それは大芸術家であったのだ。

ポロックから……と手当たり次第に名前を連ねることは出来るかも知れないが、目撃者はいない。更に彼女の友達の画家達何人が、真に彼女と共にベッドまで辿り着いたのか我々は知らないのである。何人かの人の言葉に、賄賂のように甘く擽るような言葉があるかも知れないのだが。

ある人が言っている、ペギーは絵の収集家というより、画家の収集家だった、と。そして他の人も安易に告発的言質を投げ掛けている。ペギーのような大マネージャーの手に掛かれば、ジョットのような人間でも最終的にはヘボ絵描きとなるのだった。

そして多分芸術上のあらゆる規範を壊し、それぞれに評価を認めたノヴェチェント(20世紀)芸術のように、1世紀も経てば、ペギー・グッゲンハイムのようなある権威の側から市場に投げ掛けるものは、それ自体、高評価の証明書であり、自ずと正統化の証しとなった。しかし彼女の認定は、正しいお手本というよりは、正確で根拠のある、非常に信頼に足るものであった。

そして彼女の独創性、彼女の素晴らしい直感についてであるが、彼女は自分の愛を、それは多分唯一のものであり、勿論の事、慎ましいハニカミ屋にして、節操のある“愛”をヴェネツィアに贈ったのである。確かに多くの観点から言って、それは彼女の生来の独創性に溢れたものであった。

この点において、ペギーはグッゲンハイム家の血筋の中でも、母セリグマンの側にとっても栄えある子孫であったし、1世代という時を経た今、極貧から絢爛たる富裕まで体験した二つの家は、ペギーの言葉に従えば、正にアメリカ叙事詩の中で、移り変わるエピソードを正確に定義したのだった。芸術や文化への愛、芸術愛護の素質は一家全員が身に帯びたものだった。 ……」 (3に続く)
  1. 2017/09/14(木) 00:05:25|
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ペッシェクルード(Pescecrudo)

Author:ペッシェクルード(Pescecrudo)
初めてイタリアに行ったのは1994年、ヴェネツィアには即一目ぼれ。その結果、伊語会話勉強のためにヴェネツィアの語学学校に数年間の間、何ヶ月にも渡り通いました。
その後勝手を知ったヴェネツィアを先ず訪れて、イタリア各地にも足を伸ばしています。
東京に住んでいるので、憧れのヴェネツィアについて何かしら触れているとヴェネツィア気分で楽しいのです。

*図版・写真はクリックすると拡大されます。

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