FC2ブログ

イタリア、とりわけヴェネツィア(Italia, soprattutto Venezia)

ヴェネツィア偏愛、時には脱線。

伊語版Wikipedia“Peste nera(黒死病)”――3

(続き)
「用語“ペスト”(羅典語pestis、“破壊”“破滅”“伝染病”の意)は中世において高い死亡率と猖獗を特徴とする種々の病気、コレラ、麻疹、天然痘等を意味した。黒いペストという表現は1300年代その病気が人間に引き起こす症状を観察し、とりわけ患者の皮膚や粘膜に現れる出血性の、はっきりした土色の斑点が生じるという症状の観察から生まれた。

同時代の人々は、こうした伝染病(パンデミック――伊語pandemia)を羅典語で、febris pestilentialis、infirmitas pestifera、morbus pestiferus、morbus pestilentialis、mortalistas pestis、或いは簡単に pestilentia と呼称していた。この病気を同時代の著者は、“大ペスト(grande peste)”とか“大疫病(grande pestilenza)”の呼称もした。

1300年代半ばの疫病蔓延は“黒死病”(Morta nera――羅典語mors nigra)という形容語でも有名である。この言葉は1350年に初めてベルギー人スィモン・ド・クーヴァン(Simon de Couvin[Covino]によって使われたが、彼は『De judicio/iudicio Solis in convivio/conviviis Saturni』の詩の著者で、この詩作品の中で黒死病は土星と木星が天文学でいう“合”の状態に入ったためではないかと仮説を立てている。即ち――
≪Cum rex finisset oracula judiciorum       (王が審判の託宣に終止符を打った時
Mors nigra surrexit, et gentes reddidit illi.≫   黒死病が生まれ、国はそれに屈した。)
Johannes Isacius Pontanus[ヨハンネス・イサキウス・ポンタヌス像、Wikipediaから借用] 14世紀の伝染病は、1631年に出版された、フラマンの歴史家のヨハンネス・イサキウス・ポンタヌス(Johannes Isacius Pontanus)の『Rerum Danicarum Historia』の中でも“黒死病”と呼ばれ、この場合でも表現は羅典語で atra mors となった。即ち――
≪Vulgo & ab effectu atram mortem vocitabant.≫  (通常、その症状故に黒死病と定義された。)

事実、フランスの医者ジル・ド・コルベイユ(Gilles de Corbeil)は12世紀に、論文『De signis et sinthomatibus egritudinum』の中で、atra mors という用語をペスト熱(febris pestilentialis)に言及するために使用した。“黒死病”(アイスランド語 Svarti Dauði、オランダ語 den sorte Dod)という表現はスカンディナヴィア地方、その後ドイツで広まった。ドイツでは次第に14世紀の病気と統合されていった。

この用語は英語では1775年初めて使用された。その表現は1832年にドイツの医者ユストゥース・ヘッカー(Justus Hecker)によって再び取り上げられた。1347~1353年のペストについての彼の記事は、1826~1837年ヨーロッパで猖獗を極めたコレラの大流行時代に出版もされ、“黒死病”と題されて、大反響があった。記事は1833年英訳され、重版を重ねた。 」 (4に続く)
  1. 2020/04/23(木) 10:39:18|
  2. 疫病
  3. | コメント:0
<<伊語版Wikipedia“Peste nera(黒死病)”――4 | ホーム | 伊語版Wikipedia“Peste nera(黒死病)”―2>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

カウンタ

カレンダー

06 | 2020/07 | 08
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

プロフィール

ペッシェクルード(Pescecrudo)

Author:ペッシェクルード(Pescecrudo)
初めてイタリアに行ったのは1994年、ヴェネツィアには即一目ぼれ。その結果、伊語会話勉強のためにヴェネツィアの語学学校に数年間の間、何ヶ月にも渡り通いました。
その後勝手を知ったヴェネツィアを先ず訪れて、イタリア各地にも足を伸ばしています。
東京に住んでいるので、憧れのヴェネツィアについて何かしら触れているとヴェネツィア気分で楽しいのです。

*図版・写真はクリックすると拡大されます。

最近の記事+コメント

カテゴリー

ブログ内検索

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

このブログをリンクに追加する

過去ログ

フリーエリア