FC2ブログ

イタリア、とりわけヴェネツィア(Italia, soprattutto Venezia)

ヴェネツィア偏愛、時には脱線。

ヴェネツィア街案内: カンナレージョ区(2)

(カンナレージョ区街案内の続き)
「次の目的地はディエード通り2386/A番地で、そこに同名の館があり、裁判所である。大門の脇には蝙蝠のように翼を広げたメフィストフェレス的獅子が置かれている。サンタ・フォスカ運河に架かる橋は独特で、あまり見かけないものである。橋の上を注意深く見ると、四つの足跡があり、“サンタ・フォスカ橋の足”と呼ばれている。その足型は、かつて戦争橋として知られた、その印としてのもので、対立する2ティーム間の古い闘いの跡を思い出させる。橋が激しい戦いの戦場で、不運な戦闘員は殴られ蹴られて運河に転落した。
ガブリエール・ベッラ画『サンタ・フォスカ橋の棒戦』[ガブリエール・ベッラ画『サンタ・フォスカ橋の棒戦』]  ここから約300mの所に有名な“ヴェネツィアのカズィノ”(賭博場)があるので、もし門が開いていれば一目見て、ファサードの魅惑的な姿に魅了されてみよう。そしてマッダレーナ教会に向かおう。同名の広場にあって、セレニッスィマ時代最後に建てられた宗教施設である。ひとつ独立した建物。手元の地図が教えてくれる、玄関門の上に三角形の興味津々の眼の、フリーメーソンのシンボルが嵌め込まれているのに気付く、と。

教会にはトンマーゾ・テマンツァ(Tommaso Temanza、1705.03.09ヴェネツィア~1789.06.14ヴェネツィア。建築家、作家、技師「)の遺体が埋葬されており、彼はヴェネツィアの最初のフリーメーソンの一人であったアンドレーア・メンモの影響を受けた。他にもフリーメーソンの印がこの教会にはあり、保管されているが、展示されていないため、残念ながら見ることは出来ない。

ストラーダ・ヌオーヴァは言わばヴェネツィアの主要な幹線道路の一つであり、そこでは高級品の店が軒を連ねる。その一つに我らが“宝探し”の目的地、“黄金のヘラークレースの香辛料”店がある。ヴェネツィアの香水技術にインスピレーションを得た香水の高級品を提供する“ヴェニスの商人”(ストラーダ・ヌオーヴァ、2233番地)店の親切な女店員に、オリジナルの店の造作を愛でるため、入店の許可を貰おう。そしてこの素晴らしい場所に残る古い壺やその他を見せて貰おう。

ここは3世紀前の重要な香辛料の店であった。高価な材料で作られたバロック様式の家具や彫刻が沢山あり、単に薬剤師向けのものだけでなく、インテリ貴族、聖職者、文化人が文化交流のサロンとして集まれる貴重な場所として造られた。ここではガレノス派医学の治療薬や世に評判の高い薬が用意されており、“サンタ・フォスカの奇跡の丸薬”として能く知られた店であった。

芳香馥郁たる香料によって、更に魅了されてしまう独特の雰囲気は、ヴェネツィア、香辛料商人、ヴェネツィアの薬の歴史に繋がっていく過去を夢見させる……しかし現実に戻ろう。もう一つのヴェネツィアを発見しなければならない。店の大変親切だった店員さんに礼を言い、次なる目的地に向かう。

あまり詩的ではないが、ヴェネツィアの現実の中では正に真実なのだ。オーロ通りを行くと、同名の歴史的な館がある。道の中ほどに美しい芸術的な樋が見える。そして優雅で洗練された柱頭とその飾り。トラゲット運河通りの、大運河に面したカ・ドーロのファサードは美しくエレガントである。

興味深い掻き絵が保存されている。円柱の上部に鼠(pantegana)の絵が引っ掻いた線画で描かれ、ヴェネツィアでは一人当たり5匹の鼠がいることを思い出させる。残念ながらヴェネツィアが能く考えねばならないという現実は、ヴェネツィアの地形と猫族が姿を消したことに原因がある。

ここから少し行き、サン・カンチャーノ教会の傍のトラゲット軒下通りに、1864年の“大氷結”を思い出させる引っ掻き文字が柱に刻まれている。この刻み文字はヴェネツィア人が氷の上を歩きながら、厄除け(お守り)を手に入れることが出来たことを証明しており、迷信或いは伝説で《錨に触った人は墓の島に通じる、運河の向こう岸にトラゲット(渡船)で渡る必要がなくなると考えられ、言わばまだ死なないの意である。この通りに触れることは、死から遠ざかる一種のお守りということになる。》

テースタ通り方向へ行くため、東にちょっと逸れると、6216番地で我らが“宝探し”の旅の次なる目的地に至る。“死刑執行人の家の頭”である。伝説によればこの頭は、15世紀に実際の死刑執行人が住んでいた住居を示していた。開けた口の中に死刑に関するものが投げ込まれた。

サン・カンチャーノ教会近くの薬屋の直前に、注意深い人なら舗装された道に穴があることに気付くだろう。これはヴェネツィアで作られた有名な薬、毒消し(Theriaca Fina)を作るための材料を砕くための乳鉢を設置する場所だった。

次の目的地、サンタ・マリーア・ノーヴァ小広場5999番地に、洗練された、美しい館がある。カ・ベンボ=ボルドゥで、そこにはHomo Selvaticusの彫刻がある。それは古代ローマの森の神を思い出させる。"el vecio pien de peo"(毛むくじゃらの古代人)と呼ばれ、貴族のジャンマッテーオ・ベンボが欲しがった彫刻である。この彫刻には色々な説があり、ある人は謎かけのように錬金術を想定した。」 (カンナレージョ区、終わり)
 
文中の説明の図版については次のサイト、街案内をご参照下さい。
  1. 2021/02/22(月) 23:20:59|
  2. ヴェネツィアの街
  3. | コメント:0
<<ヴェネツィア街案内: サンタ・クローチェ区 | ホーム | ヴェネツィア街案内: カンナレージョ区(1)>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

カウンタ

カレンダー

03 | 2021/04 | 05
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

プロフィール

ペッシェクルード(Pescecrudo)

Author:ペッシェクルード(Pescecrudo)
初めてイタリアに行ったのは1994年、ヴェネツィアには即一目ぼれ。その結果、伊語会話勉強のためにヴェネツィアの語学学校に数年間の間、何ヶ月にも渡り通いました。
その後勝手を知ったヴェネツィアを先ず訪れて、イタリア各地にも足を伸ばしています。
東京に住んでいるので、憧れのヴェネツィアについて何かしら触れているとヴェネツィア気分で楽しいのです。

*図版・写真はクリックすると拡大されます。

最近の記事+コメント

カテゴリー

リンク

ブログ内検索

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

このブログをリンクに追加する

過去ログ

フリーエリア